クレーム対応は、受付から完了まで同じ順序で進めると、担当者ごとの判断のぶれが減ります。本稿では、全体の流れを5つの段階で図にし、途中で判断が分かれる4つの場面を整理します。各段階の詳しい進め方は、リンク先の記事をご覧ください。
クレーム対応の全体の流れ
- ① 受付・傾聴
話を遮らずに受け止め、相手の言い分を最後まで聞く - ② 事実・感情・要求の整理
聞いた内容を3つに分け、確認できていないことは断定しない - 分かれ道 A〜C 落ち度の有無/答えられる範囲/カスタマーハラスメントか
- ③ 回答・対応
確認した事実に基づいて回答する - 分かれ道 D 対応を続けるか、打ち切るか
- ④ 完了確認・報告
相手へ完了を伝え、社内の完了条件も確認する - ⑤ 記録・共有・振り返り
記録を残し、再発防止と次の対応に使う
この図は、どの会社にも共通する一般的な流れです。厚生労働省も、指針、Q&A、リーフレットを無料で公開しており、基本の考え方はそこでも確認できます。実際には、業種や体制、過去の事案によって、どこで上位者へ引き継ぐか、どこで対応を終えるか、何を記録するかが変わります。自社の実情に合わせた具体化は、記事の最後でご案内します。
5つの段階の進め方
① 受付・傾聴
最初の段階では、解決を急がず、相手の話を最後まで聞くことが目的です。話を遮らずに受け止め、整理に必要な情報を集めます。初期対応の基本はクレーム初期対応で押さえたい5つの基本で整理しています。
② 事実・感情・要求の整理
聞いた内容を、事実・感情・要求に分けて書き出します。確認できていないことは断定せず、次の連絡方法と目安の時期を相手に伝えます。
③ 回答・対応
確認できた事実に基づいて回答します。文章の組み立て方はクレーム対応のメール・文章例|報告書・お詫び・返信の組み立て方にまとめています。
④ 完了確認・報告
相手へ完了を伝えるとともに、社内でも「何をもって完了とするか」を満たしたか確認します。状態の揃え方は対応漏れを防ぐクレーム案件のステータス管理をご覧ください。
⑤ 記録・共有・振り返り
日時、内容、対応者、結果を記録に残し、次の対応と再発防止に使います。項目の考え方は記録と報告のばらつきを減らすクレーム対応シートの基本項目で整理しています。
判断が分かれる4つの場面
A|自社に落ち度があるか、まだ分からない
確認が済むまでは、責任を断定する言い方を避け、確認にかかる時間の目安を伝えます。誠意を伝えながら責任を断定しない言い方は責任を断定せずに誠意を伝える謝罪の考え方で扱っています。
B|その場で答えられるか、持ち帰るか
担当者が答えられる範囲を超える場合は、一人で抱えず上位者へ引き継ぎます。引き継ぎの条件はクレーム対応の属人化を防ぐエスカレーション基準|悪質な事案への対処も整理に、引き継ぐ情報は担当交代でも混乱させないクレーム引き継ぎの基本にあります。
C|正当な申し出か、カスタマーハラスメントに当たるか
厚生労働省の指針は、顧客等の言動が社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境が害されるものを、カスタマーハラスメントとしています。すべてのクレームが該当するわけではありません。見分け方はクレームとカスタマーハラスメントの違い|判断に必要な3つの要素で整理しています。
D|対応を続けるか、打ち切るか
長時間や繰り返しの対応を、担当者の我慢の限界で終えると、判断が人によって変わります。時間・回数・言動の内容に基準を決めておき、判断する人を担当者以外にします。考え方は対応を打ち切る線をどこに引くか|大阪市のカスタマーハラスメント提訴議案から考えるで扱っています。
インテグレスの見解
流れを決めておく目的は、担当者を縛ることではなく、迷う場面で誰でも同じ判断ができるようにすることです。特に分かれ道の4つは、その場の判断に任せず、事前に基準を文書にしておくと、担当者の負担が軽くなります。
本稿の流れは、一般的な内容にとどめています。実務では、自社の業種、窓口の体制、これまでの事案に合わせて、引き継ぎや対応終了の基準、記録の様式、現場での使い方まで具体化して、はじめて現場で使えるものになります。インテグレスは、この具体化を、お客様の実情に合わせてご支援しています。まず自社の整備状況を確認したい場合はカスタマーハラスメント防止措置 初期整備チェックリストを、方針案・相談経路・初期対応フロー・記録様式を短期間で揃えたい場合はカスタマーハラスメント防止措置 初期整備支援をご利用ください。
出典
公式資料の本文・図表は転載せず、要点の紹介に留めています。
詳細は出典ページをご確認ください。
本記事は、一般的な対応の流れを整理したものであり、法的助言を行うものではありません。
個別の事案への対応や、社内規程・マニュアルの整備に当たっては、弁護士・社会保険労務士等の専門家と連携の上でご検討ください。
最終確認日:2026年10月1日