10月1日の施行に、東京都の奨励金(第2回)をどう重ねるか|事前エントリーは10月23日から

2026年10月1日、改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント防止措置がすべての事業主の義務になります。中小企業向けの猶予期間は設けられていません。同じ時期に、東京都は中小企業向けの「カスタマーハラスメント対策奨励金」の第2回募集を実施しています。両者は制度としては別物ですが、対象となる取組の内容は重なっています。本稿では、法人の実務担当者が両者を混同せずに動けるよう、義務化の内容と奨励金の位置づけ、スケジュール上の注意点を整理します。奨励金の募集要項そのものは既にお知らせしていますので、本稿では要点の引用にとどめます。

2026年10月1日、カスタマーハラスメント防止措置が義務化されました

改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)により、2026年10月1日から、すべての事業主にカスタマーハラスメント防止措置が義務づけられています。従業員規模による猶予期間は設けられておらず、中小企業も同日から対象です。

厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査」では、過去3年間にカスタマーハラスメントに関する相談があったと回答した企業は27.9%で、前回調査から8.4ポイント増加しています。相談実績の有無にかかわらず、2026年10月1日以降はすべての事業主が防止措置を講じる義務を負う点をまず押さえておく必要があります。

なお、施行日の時点で対策が完全に整っていない場合に、直ちに罰則が科されるという意味ではありません。ただし、義務そのものは2026年10月1日から発生します。着手時期の早さが、実務上の負担軽減につながります。

東京都「カスタマーハラスメント対策奨励金」第2回募集の要点

東京都は、都内中小企業等(常時雇用する従業員300人以下)を対象に、カスタマーハラスメント対策奨励金の第2回募集を実施しています。要点は次のとおりです。

  • 事前エントリー:令和8年10月23日(金)10時〜11月6日(金)17時
  • 支給額:40万円(定額)
  • 募集規模:5,000件(先着順ではなく、支給申請は抽選により複数回に分けて受付)
  • 対象の取組:①カスタマーハラスメント対策マニュアルの整備(作成・周知、基本方針の社内外への周知)、②録音・録画環境の整備/AIを活用したシステム等の導入/外部人材の活用、のいずれか1つ
  • 対象期間:令和7年4月1日以降、事前エントリーまでに実施した取組
  • 必要なもの:事前エントリーにGビズIDプライムアカウント、支給申請はJグランツ
  • 審査:支給決定まで6か月以上を見込む

東京都の報道発表および特設サイトには、「今回の募集をもって、当初予定していた募集規模に達することが見込まれるため、本事業の募集は今回で終了する」旨が明記されています。今回が最後の募集である点は、スケジュールを検討するうえで重要な前提です。奨励金の採択・支給を保証するものではなく、審査には6か月以上を要する見込みです。詳しい要件や申請手続きは、東京都の特設サイトで最新情報をご確認ください。

なぜ義務化と奨励金をセットで捉えるべきか

奨励金の対象となる取組(マニュアル整備・周知、録音録画環境の整備、外部人材の活用など)は、法律が義務づける防止措置の内容と重なっています。法人が2026年10月1日の義務化に向けて実施する対策が、そのまま東京都奨励金の対象取組にも当てはまる可能性があるという関係です。

言い換えると、「義務化されたことに対応する」動きと「奨励金を申請する」動きは、本来別々に検討するものではなく、同じ取組を土台にして両方へつなげられる場合があるということです。ただし、これは「奨励金があるから義務化に対応すればよい」という意味ではありません。義務化への対応は奨励金の有無にかかわらず必要であり、奨励金はその実施を後押しする制度という位置づけです。

スケジュールのずれに注意|施行日と事前エントリーの順序

実務上、特に注意が必要なのがスケジュールの順序です。

  • 2026年10月1日:改正労働施策総合推進法の全面施行(義務発生)
  • 令和8年10月23日〜11月6日:東京都奨励金・第2回の事前エントリー期間

事前エントリーの開始日は、法律の施行日より後です。東京都の奨励金の締め切りを待ってから対策に着手するという順序では、義務化への対応が遅れることになります。一方で、対象期間は「令和7年4月1日以降、事前エントリーまでに実施した取組」とされているため、2026年10月1日に向けて先行して着手した取組を、後から事前エントリーで申請するという順序は成立します。実務上は、この順序で進めることが合理的です。

今、何から着手すべきか

まず、2026年10月1日の義務化に向けて、自社の現状を確認することが出発点になります。カスタマーハラスメント対策マニュアルの整備状況、基本方針の社内外への周知状況、録音・録画環境や相談体制の有無など、対象となりうる取組の実施状況を洗い出すことが最初の一歩です。

そのうえで、東京都内の中小企業に該当する場合は、実施した取組を令和8年10月23日からの事前エントリー期間にあわせて申請できるかどうかを検討します。事前エントリーにはGビズIDプライムアカウントが必要になるため、アカウントの準備状況もあわせて確認しておくと、期間内の手続きがスムーズになります。

インテグレスの見解

義務化への対応と奨励金の申請は、別々に検討するのではなく、同じ取組を土台にして進めることができると考えています。防止措置の内容や社内規程の整備、就業規則との整合性など、法的な判断が関わる部分は、弁護士・社会保険労務士等の専門家との連携を前提に進めることをお勧めします。自社の整備状況の自己点検にはカスタマーハラスメント防止措置 初期整備チェックリストを、方針・相談経路・初期対応・記録の整備を短期間で進めたい場合はカスタマーハラスメント防止措置 初期整備支援をご利用ください。

出典

公式資料の本文・図表は転載せず、要点の紹介に留めています。
詳細は出典ページをご確認ください。

本記事は、公表されている一次情報に基づく一般的な制度紹介であり、法的助言ではありません。
個別の状況における対応要否や法令適合性の判断については、弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。奨励金の採択・支給を保証するものではありません。

最終確認日:2026年9月22日

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